レイチェル・カーソン日本協会 関西フォーラム

未来へのバトン

原 強

 レイチェル・カーソンは、1964年4月14日、「沈黙の春」が投げかけた波紋が広がるなかで、この世を去った。
「沈黙の春」の出版は、20世紀をふりかえるとき、忘れることのできない画期的な出来事であった。「沈黙の春」は、1962年6月に「ニューヨーカー」に発表され、その9月に単行本として出版されたのだが、発表と同時にたいへんな反響をよんだという。
「沈黙の春」が問いかけたことは、農薬や殺虫剤等の化学物質がとめどなく使用され続けるならば自然の生態系はどうなるのか、生物は、そして人類の未来はどうなるのかということであった。この問いかけの意味は、DDTなど農薬や殺虫剤が大量に使用されていた時代背景を考えると、きわめて重かったといえる。
そして、今日においても、その問いかけの意味は、目の前にある事象は変わっても、本質的に変わらないというより、さらに重く、深いものになっているといえよう。
私たちには、「沈黙の春」が問いかけたことを再確認し、それを指針にしながら、あらたな展望をえがくということがもとめられるのではないだろうか。
私は、彼女の生誕80年記念事業の準備会活動以来、すでに30年以上、レイチェル・カーソン日本協会の活動に参加し、彼女の生涯や思想を語り継ぐ活動を担ってきた。この中で多くの方と出会い、彼女への想いをシェアしながら、多くのことを学んできた。それは、私にとってかけがえのない財産になっている。
「私たちの住んでいる地球は自分たち人間だけのものではない」「自分たちの扱っている相手は、生命あるものだ」
21世紀を「環境の世紀」とし、人間が自然とともに、そして、さまざまな生き物とともに生きていくためには、このような、レイチェル・カーソンの「知恵」と「認識」を、おたがいに分かち合うことが必要なのだろう。
レイチェル・カーソンの生涯と思想を語り継ぐこと、それは、私たちが次の世代にむかってひきつぐ「未来へのバトン」である。

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