レイチェル・カーソン日本協会 関西フォーラム

レイチェル・カーソンの遺言

上遠 恵子

 レイチェル・カーソンは、1907年5月27日にアメリカのペンシルヴェニア州スプリングデールで生まれ、今年は生誕110年になります。
彼女の作品は、自然の語り部として、海の三部作といわれる「潮風の下で」「われらをめぐる海」「海辺」、化学物質による環境汚染を世に先駆けて告発した「沈黙の春」、子どもたちが自然界の不思議さに感動し目をみはることの大切さを語った「センス オブ ワンダー」などがあります。それらは、みなベストセラーになっています。
レイチェル・カーソンの作品はどれも、生命の言葉で語られており、経済の言葉ではありません。 地球は、生命の糸で編み上げられた美しいネットで覆われています。人間はその編み目の一つなのだとカーソンは言っています。編み目の一つである人間が、科学技術という強大な力を持ってしまったことで、人間は、お互いに繋がりあっている自然を破壊し、汚染し続けてきました。
カーソンは、人間のおごりへの戒めと文明の再構築を願っていました。その根底に流れている思想は生命への畏敬です。
1963年10月、カーソンは、サンフランシスコでのシンポジュウムで「環境の汚染」という講演をしています。化学物質による汚染ばかりでなく、放射性物質による汚染について警告を発しています。54年も前の警告は、原発事故を経験した現在にも迫ってきます。
“放射性物質による環境汚染は、あきらかに原子力時代と切り離せない側面です。それは核兵器実験ばかりでなく、原子力のいわゆる「平和」利用とも切っても切れない関係にあります。こうした汚染は、突発的な事故によっても生じますし、廃棄物の投棄によっても継続的に起ってもいるのです。私たちの世界に汚染を持ちこむという問題の根底には道義的責任——-自分たちの世代ばかりでなく、未来の世代に対しても責任を持つこと――があります。まだ生まれていない世代にとっての脅威はさらに計り知れないほど大きいのです。彼らは現代の私たちがくだす決断にまったく意見を差し挟めないのですから、私たちに課せられた責任は極めて重大です。”
私たちは、この言葉を彼女の遺言として重く受け止めたいと思います。

(2017年5月14日開催の「レイチェル・カーソン生誕110年記念のつどい」の講演要旨)

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