6月は「環境月間」です。これは、1972年6月5日からストックホルムで開催された「国連人間環境会議」を記念して定められたものです。

「国連人間環境会議」は、「かけがえのない地球(Only One Earth)」を合言葉に、環境問題について世界的な規模で話し合った最初の国際会議です。会議には113ケ国の政府代表、19の政府間機関のほかに数多くのNGO(非政府組織)が参加しました。

日本からは設置されたばかりの環境庁の大石武一長官が参加し、日本の公害の経験と教訓を伝えたほか、水俣病関係者が世界にむかって「ノーモア ミナマタ!」と訴えました。

会議は、自国の危機的な環境問題の解決を求める先進国側の主張と、環境要因によって途上国の開発や経済成長を抑制すべきでないという途上国側の主張がぶつかるなかで、地球環境問題の解決の方向を探るための機会になったといわれています。

最終的に採択された「人間環境宣言」は、それ自体が法的拘束力を持つものではありませんが、環境問題の解決のための意識を高め、それ以後の国際的な環境問題の会議での議論の土台を形成するものでした。「人間環境宣言」は以下のように宣言しています。

「人は環境の創造物であると同時に、環境の形成者である。環境は人間の生存を支えるとともに、知的、道徳的、社会的、精神的な成長の機会を与えている。地球上での人類の苦難に満ちた長い進化の過程で、人は、科学技術の加速度的な進歩により、自らの環境を無数の方法と前例のない規模で改革する力を得る段階に達した。自然のままの環境と人によって作られた環境は、共に人間の福祉、基本的人権ひいては、生存権そのものの享受のために重要である。」

「我々は歴史の転回点に到達した。いまや我々は世界中で、環境への影響に一層の思慮深い注意を払いながら、行動をしなければならない。無知、無関心であるならば、我々は、我々の生命と福祉が依存する地球上の環境に対し、重大かつ取り返しのつかない害を与えることになる。逆に十分な知識と賢明な行動をもってするならば、我々は、我々自身と子孫のため、人類の必要と希望にそった環境で、より良い生活を達成することができる。環境の質の向上と良い生活の創造のための展望は開けている。いま必要なものは、熱烈ではあるが冷静な精神と、強烈ではあるが秩序だった作業である。自然の世界で自由を確保するためには、自然と協調して、より良い環境を作るため知識を活用しなければならない。現在および将来のために人間環境を擁護し向上させることは、人類にとって至上の目標、すなわち平和と、世界的な経済社会発展の基本的かつ確立した目標と相並び、かつ調和を保って追求されるべき目標となった。」

この会議を通じて、環境問題に関する国際機関としてUNEP(国連環境計画)の設置が決まり、これ以後、国際的な環境問題の議論と行動は、紆余曲折を経ながら、1992年6月、リオデジャネイロで開催される国連環境開発会議にむかうことになるのです。

「コロナ後の世界」を議論する気運がたかまっていますが、「環境月間」を機に、「人間と環境の調和」、「人間と自然の共生」ということを基本命題にしながら議論をはじめたいと思います。